UX Branding ー前編ー

もはやUXの重要性を語る必要はなくなってきています。

デジタルに携わるすべての人の常識になっていますし、どこの経営者もUXの重要性について説き、UXデザインへ投資を行っています。UXに関係する書籍は本屋で多くのスペースを確保し、毎週のように新しい本が出版されています。デザイン専門の大学を卒業しなくても、サンフランシスコのベンチャーにインターンしなくとも、世界で実践されるベストプラクティスを学び、UXデザインを実践する環境は整ってきていると言えるでしょう。

しかし、UXをデザインしたとしても、我々が作っているプロダクトは成功しているのでしょうか。このまま機能を拡張し、使い勝手の改善を続けていったとして、成功するのでしょうか。そして、私たちは、いま自分が携わっているプロダクトが成功することを本当に信じて働いているのでしょうか。

UXブランディングは、このような問いかけから生まれました。

プロダクトは、より人の生活を豊かにし、意味のあるものとして存在できるように。プロダクトを作る人が信念を持ち、その人の貴重な人生をそのサービスに費やす意義があるものにするために。UXブランディングとは、そのような志を実現するための、ZEPPELINオリジナルの概念です。ここでは、UX Brandingについてできる限り噛み砕いてご説明します。

 

UX Brandingは、UXと何が違うのか?

UXとは、「ユーザーが感じる体験の価値」を中心にプロダクトの商品企画や設計を行うための概念です。または、UX観点でのモノづくりを実践する手法を指すこともあります。世の中には優れた体験を提供し、成長を続けるサービスがたくさんあります。例えば、Uberはタクシーを手配し、目的地に行くという行為の中に、タクシーを待つという体験やドライバー・乗客それぞれを評価するといった新しい価値を提供しました。Airbnbは、宿泊施設の借り主と貸主の間に、ただ安価に借りるだけではない、コミュニケーションや思いもやり取りするという体験価値を実現しています。多くの人が、UberやAirbnbといったサービスが実現していることをUXの観点から学び、今自分が行っているサービスに活かそうと努力しています。

さて、UX Brandingは上記のUXと何が違うのでしょうか。UX Brandingを一言で言うと、「体験に、競合他社との差異をもたらすための、思考プロセス」です。UXは「価値ある体験をどう作るか?」「体験価値をどう向上させるか?」というところに主眼が置かれますが、UX Brandingでは「体験にどのようなオリジナリティを持たせるか」ということが重要になります。

UX関連のノウハウ本の多くは、UXを考えるためのフレームワークや、分析・調査方法、実際にソフトウェアやアプリケーションを作るデザインの方法について教えてくれます。しかし、競合他社とは違う、他の企業には真似できない、オリジナルの体験を作ることについてのノウハウはまだ多くはありません。UX Brandingは、体験に「違い」を作るために、ものの考え方やチームビルディングの方法、インターフェイスデザインの作り方を中心にZEPPELIN独自に定義され、実際に多くのプロジェクトで導入されています。

では、そもそも、なぜUX Brandingという新しい概念を定義する必要があったのでしょうか。それには2つ理由があります。

 

1.デジタル市場のコモディティ化

"ブランディング"という言葉は、市場が競争環境に陥った場合の差異化戦略を指すときによく使用されます。「差別化」ともいいますが、どちらも違いを作るという意味では同じです。

市場に複数の同じような商品が存在し、どれも同じような価格と機能がある状態をコモディティ化と呼び、そのような状態では消費者が商品を選ぶときの評価の尺度が、性能やデザイン性などよりも、価格に集中します。このような状況では、ブランド力こそがビジネスにおいて重要性を発揮します。

1990年代に登場したインターネット、デジタルのインパクトは、大きく世の中を変化させ、2000年代以降デジタル化をいち早く導入してきた企業は成功してきました。また、デジタルによって既存の市場を大きく変えることに成功したベンチャーはこれまでの歴史では考えられないスピードで組織を拡大してきました。しかし、デジタル市場は20年の歴史を刻んだ今、デジタル市場にもコモディティ化が訪れていると我々は考えています。

ZEPPELINはこれまで、クライアントの商品のUI/UXを改善・向上させることに取り組んできました。使い勝手がよく、ユーザーが本当に大切だと思う価値を見定め、サービスとして作り上げることを専門に行ってきたのですが、それがデジタル化を急ぐ数多くの企業にご支持をいただき、会社もクルーも大きく成長してきました。また、デザインをした結果、いち早く優れたプロダクトを世の中にリリースし、実際にユーザー数を伸ばされたパートナー様も数多くいます。

しかし、近年はUI/UXノウハウが市場にあふれ、UXのデザインを提供できる会社も増えていきました。また、企業の方自身でも日々の業務にUX観点でサービスを改善することも、徐々に可能になってきています。そうなると、デジタルでビジネスを行おうとする会社は、最終的にどこも優れた使い勝手や体験を提供できるようになってしまいます。それはつまり、いちプロダクトのUI/UXを向上させたからと言って、その商品が競争力を持つとは言い切れない状況になっていくのです。

我々も、あるプロダクトのデザインを行う上で、競合他社を調査しますが、どこも使い勝手がよく、同じような体験を提供していることが多いです。あるプロダクトに競合他社と比較して劣った要素を改善しても、結局は他社と同じようなものにしかならないのではないか?そのような懸念を常に感じています。そして、それをどうすれば払拭できるのか長年考えてきました。

ともかく、プロダクトやサービスが、長年ユーザーに支持され続けるためには、UI/UXの向上・改善だけではなく、他社にはない圧倒的な価値、つまり、差異化をもたらす"何か"が不可欠な時代になってきたということは、明らかでしょう。

.....後半へ続く

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