005 シンクロする

 すれ違うことが多い時代なのかもしれません。渋谷を歩けば様々な方向から歩いてくる人を避けて歩かなければいけませんし、車もひっきりなしに通っています。大小高低様々な音が街中には溢れ、自分自身の感覚が乱される感じがします。

 日々私たちはお互いに意思疎通を図りながら生きています。家庭でも職場でもお互いにコミュニケーションを取る必要があり、時に自分とは違う、異なった視点からの意見が出ることがあります。また目的に沿ってお互いの意識を合わせる必要がありますが、相手とのコミュニケーションがなかなか上手くいかない。なぜか自分の話が噛み合わない。伝えたいことが上手く伝わらない。そういったことはよくあるのではないでしょうか?

 私たちはお互いに様々な視点を持って生きています。そして一人一人が出す「波長」も様々です。そんな私たちが一つのコミュニティーとして生きていく時には、どのようなことが必要なのでしょうか?一つの解として、私は「シンクロする」ことではないかと考えています。

 渡り鳥が方向転換する際には、渡り鳥同士は何の意思疎通も行っていないという風に言われています。私たちの目には見えないレベルでの信号が行き交っていて、行動に至っているとも言われています。シンクロするということは私たち生物にとって根源的なことだといえるのかもしれません。シンクロすることにより、喜びとも嬉しさとも違う、より私たちの根源的な部分が刺激されます。

 よく、食事をする際に、相手が飲み物を飲む時に同じタイミングで飲み、相手が食べようとした時には同じタイミングで食べる。そうするとコミュニケーションが上手くいくと言われています。これもまた、シンクロが起こっているが故の現象かもしれません。

 仕事で話をする際にも相手の姿勢や所作、話している内容など合わせられるところに自分自身を合わせてみる。同じタイミングで、同じことを行うことで強い共感にも似た力が働きます。そのような土壌が生まれた中で話しをする方がよほど上手くいくのではないか、そう考えています。

鳥越 康平

鳥越 康平

http://zeppelin.co.jp

京都工芸繊維大学、工芸学部造形工学科卒業後、韓国サムスン電子にてデザイナーとして携帯電話などの最先端機器の開発に従事。帰国後2005年10月にZEPPELINを設立。

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