004 呼吸を整える

 都会で暮らしているせいでしょうか?なんとなく追い立てられている感じが離れない時があります。満員電車への乗り降りで前後左右から追い立てられ、自然と急ぎ足で会社へと向かっているとき。仕事では数多くのミーティングを”次から次へとこなしていく”とき。まさに、息をつくひまもない毎日のようです。

 何か物事を決定したい時のミーティング。自分やチームの方針を提示して合意を得るためのミーティング。私たちが普段仕事をしている中では、様々な方とミーティングを行いそこで合意を取っていく必要があります。しかし過去に上手くいかないことが続いてしまい、なぜそれが上手くいかないのか分からず、プレゼンの手法や提案の方法論を探しては試行錯誤を繰り返していた時期がありました。

 そんな時に、私の師事する方からとても重要なことを教わり状況が一変しました。私が教わったこと、それは「呼吸を整える」ということです。誰かと話をする際は自分の呼吸が乱れていてはいけない。自分の呼吸を意識し、整えることこそが重要ということを教わりました。剣術の達人、宮本武蔵は試合の際に自分の呼吸を相手の呼吸と合わせたといいます。プレゼンの手法や提案の方法論よりも前に、呼吸を整えることが大事だということを教わったのです。

 にわかには信じられないかもしれません。ですが実際に試してみて結果は驚くほどに変わりました。自分自身の呼吸をゆっくりと波立たないように整える。話しをしている時も話を聞いている時も一定のリズムで呼吸をする。するとどうでしょう。ミーティングの場の雰囲気は自分の呼吸に合った雰囲気へと変わります。自分の伝えたいことが不思議と伝わるようになります。逆に自分の呼吸が乱れている時、それは相手に伝播していきます。相手の呼吸、ひいてはその場にいるすべての人の呼吸を乱してしまうことになります。

 私たちは仕事をしていれば、何かの目的にそって物事の合意を取る必要があります。成さなければいけないことがあり、内容や手法を駆使して相手にそのことを伝える必要がある。しかし、その前に私たちは人間であり、地球上に生きる生物(生命)です。自分自身の呼吸を整えることにより、その場にいる人たちの原始的な感覚が満たされていく。その前提があってこそ、物事をより自然と受けとめることができるのかもしれません。

鳥越 康平

鳥越 康平

http://zeppelin.co.jp

京都工芸繊維大学、工芸学部造形工学科卒業後、韓国サムスン電子にてデザイナーとして携帯電話などの最先端機器の開発に従事。帰国後2005年10月にZEPPELINを設立。

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