香港視察レポート|BODW

香港で開催された「Business of Design Week 2015」(以下BODW)へデザイングループのディレクター後藤とデザイナーの熊崎の2名が視察へ行きました。BODWでの学びや、国際都市香港での体験を通して感じたことを、 後藤のレポートからご紹介致します。


 

表現方法はもっと自由であっていい

 今回初めて香港を訪れた印象を一言で表すと、とても「自由」なところだと感じました。BODWや香港の街並みを通じて「デザイン」や「アート」に明確な区別がなく、独創的な表現が多いこと、それをそのまま受け入れる風土を感じたからです。見方によっては、ルールがなくごちゃごちゃしているようにも感じますが、様々な文化が入り混じる香港ならではの環境を肌で感じられた視察となりました。このレポートでは、BODWを中心に視察全体を通して感じたことをご報告致します。

 視察のメインとして訪れたBODW(Business of Design Week http://www.bodw.com)は、Hong Kong Design Centreが2002年より毎年1カ国と提携し開催している国際的なイベントです。2015年はスペインがオフィシャルパートナーでした。デザインの分野で広く注目されている方々を集め、新しいアイディアやビジネスチャンスに結びつくネットワークを広げるプラットフォームとしての役割も果たしています。事前情報はBODWのHP(英語/日本語)だけ、という状況のなか登壇者についてリサーチを重ね、業務との親和性を感じる「Product」と「Communication」の2つのテーマに注目して参加しました。

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会場となったHKCEC 香港會議展覧中心にて(左:後藤 右:熊崎)

 

 いざ会場へ入ると、参加者もゲストスピーカーも比較的ヨーロッパとアジア圏の方が多い印象でした。カンファレンスでは、優れたデザインと影響力のあるビジネスリーダーが次々と登壇され、それぞれの経歴や実績紹介、開発プロセスや考え方(思想・哲学) を発表していました。また、併設された会場ではDFA(Design for Asia Awards)=アジアデザイン賞を受賞した作品の展示も行われており、世界各国から参加者が集まり大いに盛り上がりをみせておりました。

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 カンファレンステーマ「Product」の登壇者の中でも特に印象的だったのは、Ali Ganjavian氏です。彼は2006年にStudio Banana(http://www.studiobanana.com)を設立し、「規模や形式の範囲に関わらず革新的である」という理念のもと、プロダクトデザインに従事しているそうで、実際に発表の中でも革新的なプロダクトの数々を見ることができました。

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 紹介された彼の作品(プロダクト)はどれも形状そのものが個性的で、それだけで強いインパクトを受けます。日本でも話題となった昼寝専用枕「OSTRICH PILLOW」は、睡眠不足を解消するために彼らのスタジオが制作したプロダクトです。”睡眠不足の解消”という問題に対し、”心地よいお昼寝”というコンセプトを立て、解決策となる方法を一つ一つ研究していったそうです。光や音の遮断、呼吸、利用するシチュエーション(オフィスや電車など)、持ち運びやすさなど、開発段階からその商品が存在している未来をイメージし、”心地よいお昼寝”そのものを追求したそうです。その結果、最適な素材の選定など実用的な解決策が導き出され、現在のプロダクトの形にたどり着いたとのことで、こういった方法は、商品開発において当たり前のアプローチではありますが、その研究過程をとても楽しんでいた様子が発表から伝わり印象的でした。

 

「Communication」の登壇者からはStefen Chow氏に注目しました。彼はシンガポール出身の世界的に活躍するフォトグラファーで、The Poverty Line(http://www.thepovertyline.net)共同創設者でもあります。世界の貧困層について独自の方法で調査を行っている団体で、その結果を発表していました。彼がThe Poverty Lineで主幹となって進めているプロジェクトは、貧困線(生活に必要な物を購入できる最低限の収入を表す指標)で暮らす人が、実際1日で買うことができる食料を各国ごとに新聞に並べ写真を撮影するという方法で可視化する取り組みです。彼らのHPでその写真を見ることもできますが、彼はこれらの写真をカフェや展覧会といった場所で展示する機会をつくり、社会に対する問題提起を行っています。

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 ご紹介した登壇者に共通して見られたことは、社会問題に対して独自のアプローチを行っていることと、その表現方法が”アーティスティック”であることでした。また彼らのプレゼンで語られた自身のある言葉を通し、「信念を持って情熱を注いでいるからこそ、他者の心を掴むものを世の中に生み出すことができる」ということを、改めて感じることができました。

 

視察を終えて

 問題を解決する手段としてデザインがあるという視点は、もともと持っていましたが、今回のカンファレンスを通じてその表現方法はもっと自由であっていいと思いました。より大きな課題解決につながるデザインを意識し、ユーザー(生活者)に受け入れられるものを世の中に生み出すことが、これから活躍するデザイナーに求められているのではないかと思います。

 私たちが普段デザインしているものは、インターフェース上でユーザーにどのような体験を提供するのか、ということです。ユーザーの目的達成のために必要な要素だけを残し、余計な負荷を極力排除し最短距離で目的を達成することができるよう、シンプルなデザインを心がけています。そのためにもユーザーの行動をベースに検証し、本当に必要なものを明らかにしてから、UI設計を行いグラフィック化していきます。この作業を行うことで、どんどんと本質が研ぎ澄まされていき、シンプルなデザインへと導いていくことがZEPPELINらしいデザインです。

 今回の香港での学びから、ZEPPELINがつくるデザインを通じてもっと社会に貢献できることは何かを改めて考え、カンファレンスの参加者としてだけではなく、あの場で発表できるような実績をつくり出していきたいと思いました。今後も国内外で視察を継続し、デザインやテクノロジーの最先端の触れ、デザイナーとしての目を養い、本質を抑えながら既存の枠にとらわれないサービスを生み出し続ける組織に成長していきたいと思います。

ZEPPELIN Inc.

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