こころが満ちる”体験”をつくるために(前編)

ZEPPELINは2015年10月18日をもちまして創立10周年を迎えることができました。
ひとえに皆様からのご支援の賜物と心より感謝申し上げます。

10周年に際しまして、PR Tableの方にインタビューをしていただきました。代表の鳥越がZEPPELINのこれまでを振り返り、その想いを語る内容となっております。前編・後編と二回に分けてご紹介いたします。


 

五感を通した体験で幸せを感じた幼少期

 

まずは、ZEPPELINの主な事業内容について教えてください。

 私たちZEPPELINが現在手がけていることは、主に二つの事業に分けられます。それはソフトウェア開発と事業ビジョンの創出です。ソフトウェア開発は、マルチディバイスにわたり、スマートフォンやタブレット、テレビやパソコンなどのサービス設計やユーザビリティー(使い勝手)の向上を中心に事業を展開しています。事業ビジョンの創出では、新規事業や既存事業の改革において、「なぜそれを行うのか?」という0ベースから、クライアント様をはじめパートナー様、事業に携わる方々全員と一緒に考えます。

 そのどちらの取組みにおいてもZEPPELINは、常にユーザーにとって価値ある”体験”をつくることをとても大切にしています。モノやサービスをつくるだけでなく、その先にある”体験”をどうやってユーザーに提供できるか?ということを中心に考えています。


なぜ”体験”に重きをおいて事業を考えられるようになったのですか?

 遡れば、私の幼少期からの話になります。少しお付き合いいただいてもよろしいでしょうか?笑
私が生まれ育ったのは、佐賀県多久市という都市部から離れたところで、田んぼに囲まれ、小川がたくさんあるような自然豊かな場所でした。小学生の頃は家の裏にある川で、よく手づかみで魚を取って遊んだりしていましたね。捕まえた瞬間のヌルッとした感じや、魚が手の中で動く時の躍動感に毎回ワクワクしていたことを今でも覚えています。それだけでなく、どこまでも続く田んぼや、そこから見える稲の青々とした様子、土の匂いに至るまで、五感で感じられるものがとても好きで幸せな気持ちになったことをよく覚えています。
中学卒業を機に、実家から離れ、県でも有名な進学校へ進学することになったのですが、これまでの野山に囲まれた環境と違って、都市部のどこか堅苦しい環境に息が詰まる感覚を覚えました。朝早くから夕方まで一日中教室の中で大学受験のための勉強に勤しむ日々。友達が話すテレビの話題にもついていけず何か固定観念に縛られたような世界の中で生きることに窮屈な思いを感じ、自分自身の歩むべき道が見えない息苦しい日々でした。

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そこから京都工芸繊維大学に進学されたわけですが、どのようなご経緯があったのでしょうか?


 大学受験にあたっては、心から行きたいと思える大学がなく、大学選びには長い時間がかかりました。悩みに悩んだ末、落ち着いたのが「自分が得意なことは何か?」ということ。幼少期に自然の中で遊んだこと以外にも、レゴブロックがあれば何時間でも遊んでいられた日々を思い出して造形学科がある大学を選びました。
大学一年生で建築の基礎を学び、2年生からは意匠コースを専攻しました。そこでデザインという概念と、その基本的な思考プロセスについて勉強しました。



現在のUX/UIのデザインと繋がるきっかけがここで生まれたのでしょうか?

 当時はまだモノをつくることに目的が置かれており、プロダクトの見た目や斬新さなどが重要で、UIという概念が重要視されることはありませんでした。これは後のSAMSUNG勤務時にも経験することなのですが...(この後に続きます)

 大学ではその後、映像制作にも力を入れて取り組むようになりました。ものづくりだけではなく、その製品を伝えるためのプロモーション映像などを自分なりに取り入れていました。1/30秒の、ほんの一瞬の一コマまで、映像や音のタイミングが心地良いかどうか徹底的にこだわってつくる中で、映像を通して受け手が感じる感じ方、感情の創出に自分が強烈に惹きつけられることに気がつきました。

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”人間が入れる万華鏡”を図解する鳥越氏
(鏡張りになった三角形の部屋に、外からプロジェクターで映像を投影することで、人と映像が一体となる)




「感じ方、感情の創出」と”体験”って非常に近い存在のもののように感じられます。


 感情と体験は繋がっていると思います。
その時から”体験”を取り入れて制作する、ひいてはデザインすることが自分の中に考えとしてありました。大学の卒業制作のテーマを考える時に、『映像を投影するだけではない何か』をつくりたいと悩んだんですね。そこで、「私たちの身の回りにあるものに自分自身が介在したらどんな体験になるのだろう?」というアイディアを思いついて、”人間が入れる万華鏡”を制作したんです。

 これまでの映像作品にはなかった、”ユーザーが作品に介在することができる”という新しい”体験”を実現できたと自分でも思える作品になりました。教授からの評判は芳しくなかったけれど(笑)、何社か企業の方から「自社でもつくりたい」というお声がけをいただきました。

 

UIという概念に出会う

 


”人間が入れる万華鏡”、非常に面白そうですね。
今までのお話を伺うと映像制作へ進まれる事も選択できるような印象を受けますが...

 映像は自分に向かってくる一方通行、という世界に限界を感じるようになって、映像とユーザーが双方向にやり取りができるインタラクティブな方向を探すようになりました。当時映像をつくるソフトウェアや手法は大学内にもあったのですが、インタラクティブな映像をつくる方法はとても限られていたし、難しかったんです。そこでUIという、ユーザー自身が何らかのアクションを起こすことができるテクノロジーに出会いました。UIが持つ可能性とその先にある”体験”について考えると、夜も寝ないでいくらでもアイディアが湧いてくるような時がありました。幼少期に経験した、五感で感じられる”体験”を実現できる可能性を感じました。


幼少期の記憶からインターフェースに”体験”を持たせようということですね。大学卒業後は韓国のSAMSUNG電子にデザイナーとして入社されます。どんなご経験があったのでしょうか?

 主にデザイナーとして携帯電話や音楽プレーヤーなど最先端機器の開発に携わりました。しかし、時代の最先端を行くサムスンですら当時は機器としての見た目が重要視され、そこからユーザーが受ける”体験”には目を向けられていないことに気づきました。

 印象的だった出来事があります。次世代携帯電話をデザインするプロジェクトの時に、社長に成果をプレゼンする場がありました。そこで私はハードウェアのデザインだけでなく、UIも重視していたため、ハードウェアの模型にUIイメージを印刷した紙を貼って出しました。これは徹夜で考えて作りました。でも、プレゼン一時間前に上司がそれを見つけ「必要ないから」といって剥がされてしまいました。自分にとって衝撃的でしたね。


ビジネス面で、UIとしての価値よりも見た目や機能的な新しさの方が重要視されていた、ということですか?

 そうですね、ビジネスの枠組みに捉われた中でしかデザインができないという状況でした。ハードウェアだけでなく、心地よく使えるUIがあって初めてユーザーにとっての真の価値があると考えていたので、「自分でやるしかない」という想いが強くなっていきました。さらに、五感で感じられる体験はきっと、人々が生き生きとできる新しい時代をつくれると思い、サムスンを退社し、日本へ帰国してZEPPELINを設立しました。(後編に続きます)

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以上が前編となります。ZEPPELIN設立に至るまでの鳥越の経緯について詳しく語ってもらいました。後編では、ZEPPELIN設立からの歩みについて語っています。

後編は、1月中旬に掲載予定です。ぜひご期待下さい!

ZEPPELIN Inc.

ZEPPELIN Inc.

http://zeppelin.co.jp/company/

ZEPPELIN「WE CREATE BEAUTIFUL WORLDS」というビジョンのもと、 デザインを軸に、ユーザーの日常の体験を生み出す「場」です。

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