デザインの意思決定を可視化する

デザインの良し悪しとは?

「デザインは人の好みだから、良し悪しの判断って難しいよね?どのように行えばいいですかね?」

「過去のプロジェクトで、デザイン案がトップの意向でひっくり返されちゃって大変だったんだよ。今回も大丈夫かな?」

デザイン制作を行うプロジェクトでは頻繁に、このようなお話の相談をクライアントから受けます。確かに、柔らかい印象を好む人、クールなものを好む人、黒が好き、白が好き、インパクトの強いもの、スッキリとしたシンプルなもの、などデザインを構成する多くの要素には人の好みがつきものです。我々のクライアントからも、担当者が変わる度にデザインが変わるし、決裁者にそれぞれお伺いを立てるごとに方向性がぐらつく、など、悲痛なる経験をよく耳にします。おそらく、Webサイトやアプリを企画したことがある方なら、このような好き嫌いに話が転がり、ディスカッションが先に進まなかった経験はあるのではないでしょうか。

ZEPPELINではデザインの意思決定を行うための有効な手段としてデザインガイドラインを活用しています。ここでは、デザインの良し悪しを判断する一つの方法としてこのガイドラインがどういうもので、どう活かされるのかご紹介したいと思います。

 

デザイン制作の道標

デザインガイドラインとは、あるサービス・アプリのデザインをする上での取り決めごとをまとめた資料です。デザインを検討する際に、なぜそのアプリのデザイン(色、形状、フォント、など)が、その内容に決定したのか、サービスのターゲットユーザーや届けたい提供価値に基づいて一つ一つ定義し、資料にまとめます。例えば、一般的にマージンや余白を大きく取ると大人な落ち着いた印象にできますし、大きなフォントは簡単さを感じさせることができます。どちらを選択するかは、サービスのターゲットユーザーや提供価値に合わせて決めていきます。そうして、あらゆるデザインを構成する要素とその選択肢を、ビジネスの目的に応じて選択していくのです。以下は、デザインガイドラインで扱うデザイン要素の一例です。プロジェクトによって簡略化したり、要素を増やしたりします。

  • 色(色相、色調)
  • 文字(書体、サイズ、ジャンプ率、背景とのコントラスト)
  • レイアウト(マージン、位置、サイズ、コントラスト)
  • アイコン(表現、形状)
  • フォーカス
  • ボタン形状・状態変化規則
  • 比率
  • 背景テクスチャ
  • UI要素の露出時間・露出場所
  • 光源
  • オブジェクトの関連性

なぜ、デザインガイドラインが意思決定のために、有効なのでしょうか?それは、デザインを構成する要素を一つ一つロジカルに定義するので、パッと見た時のデザインに対する印象に加えて、どうしてそのデザインになったかという理由を説明できるからです。サービスのターゲットユーザーや、ユーザーに提供したい価値・コンセプトがあり、それに応じて各種デザイン要素が合理的に構成されているのであれば、人の好みをある程度排除してデザインについてディスカッションできるようになります。もちろん、ターゲットユーザーやサービスのコンセプトがあやふやだったり、チームでの合意形成がなされていなかったりすると、デザインガイドラインは全く意味をなさないので、そこは確実にしていく必要はあります。ただ、コンセプトさえ決まってしまえば後はロジックを積み重ねていくことで、納得感のあるデザイン※を構築することができるのです。 

※一点注意してお伝えしたいのは、ここでいうデザインは主にGUIに相当するグラフィックデザインを指していて、本来デザインが指す意味としては、サービスコンセプトの明確化や課題設定からがデザインの範疇であると、ZEPPELINでは考えております。

 

ZEPPELINのデザインガイドライン

こちらは、デザインガイドラインのサンプルになります。

対象のアプリでどのような色を採用するか説明する資料ですが、主に使用する色のパターンを定義します。円熟し落ち着いた大人がターゲットユーザーとなっていますが、デザインの議論以前にその設定が正しいかどうかは、プロジェクトの関係者全員でディスカッションできます。
guideline

designguideline2

コンセプトについてプロジェクトメンバーの合意を得た上で、円熟し落ち着いた大人にどう色で表現するかは、デザインの専門知識が必要です。その部分はデザインの専門家に委ねる、という切り分けがよいでしょう。ただ、色にはそれぞれ、多くの人間が抱く印象の傾向というものが定義されているので、それが理由としてあれば、よりメンバーの納得感は増します。

一つ一つデザインの要素を定義していくと、できあがったデザインに対しての意見や議論が可能になり、建設的なデザインの意思決定が行えるようになります。加えて、この資料はサービスやアプリのデザインに関してのガイドラインにもなりえます。というのも、その規則に沿っていれば、新規ページ作成や機能追加が発生しても一貫したデザインでアプリをアップデートできるからです。はじめは全体的に整合性がとれたデザインでも機能やページの増設を続けるうちにごちゃごちゃしてくるということもよくある話ですが、デザインガイドラインはそういった状況への対応策としても利用できるのです。ガイドラインに沿って、その規則に合わせる形でアップデートを行う限り、全体の調和を乱すリスクは抑えられるでしょう。

 

見える化がもたらすメリット

最後に、デザインガイドラインを制作する意義についてもう一度まとめたいと思います。デザイナーは基本的にはデザイン制作をする上で、ガイドラインでまとめる項目を頭のなかで検討してグラフィックデザインに落としこんでいきます。それを改めてガイドライン資料としてまとめる必要性が本当にあるのでしょうか?資料のボリュームにもよりますが、大抵の場合1,2週間ほど制作には期間を要するので、そのために予算を投じるメリットはあるのでしょうか?

ZEPPELINでは、長期的な視点に立った場合、確実にメリットがあると考えています。

小規模な組織でサービスの企画や運営が完結できるのであれば、ガイドラインのようなものは不要かもしれませんが、関係者が多くなればなるほど、「そもそもこのデザインで良いのか?なぜこうなっているのか?」という議論は不定期に発生します。その度にコアメンバーが説明していると疲弊していきますし、改善する上でも土台となる考えがまとまっているか否かでは、リニューアルに費やすコストは変わってきます。初期投資としては成果が見えにくいですが、長期的にプロジェクトを見据え、改良を続けるには、デザインガイドラインの制作が有効なのです。

ガイドラインのご紹介を交えて、デザインの意思決定をどう可視化するかお話させていただきました。デザインには論理で説明可能な要素があり、その要素をコンセプトに照らし合わせて構築し、ガイドラインとして記録することで、不毛な議論を避けることができます。ガイドライン資料を作るまでは行かなくとも、なぜこのデザインはこれであるべきか?を問う視点を持つことで、日常的なデザインに関係する議論が効率的にできるのではないでしょうか。

 

ZEPPELIN Inc.

ZEPPELIN Inc.

http://zeppelin.co.jp/company/

ZEPPELIN「WE CREATE BEAUTIFUL WORLDS」というビジョンのもと、 デザインを軸に、ユーザーの日常の体験を生み出す「場」です。

ZEPPELIN Inc. の記事一覧

RECOMMEND

View all