成長し続ける組織の本質 第1回「ユニクロをトップ企業に育てた安本先生のルーツ」

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第1回 ユニクロをトップ企業に育てた安本先生のルーツ

安本隆晴(公認会計士/税理士/株式上場コンサルタント)

早稲田大学商学部卒業後、朝日監査法人(現:あずさ監査法人)、株式会社ブレインコア取締役を経て、安本公認会計士事務所を設立。現在、株式会社ファース トリテイリング、アスクル株式会社、株式会社UBIC等の監査役を兼任。また、『ユニクロ監査役が書いた 強い会社をつくる会計の教科書』『ユニクロ!監査役実録』等、多くの著書を執筆。現在、公認会計士・税理士、株式上場コンサルタントとして活躍している。

2013年、経営顧問に就任。ZEPPELINの中長期的ビジョン実現に向け、企業価値向上に必要な会計思考を軸として、経営戦略や組織体制の構築・運用などの経営基盤の強化を陰で支えている。

− 応援団で学んだ組織のちから

安本
高校時代の話ですが、僕は絵が好きなので、
入学したあと絵画部に入ろうと思って部室に向かったら、
隣が応援団の部室だったんですね。
なんとそこには既に同級生がいて、引っ張り込まれちゃったんですよ。
鳥越
違う部室に入っちゃった(笑)
安本
そう。それで、先輩が鍵をかけて
「お前が応援団に入るって言うまで出さない」とか言われて(笑)
鳥越
えー。そんな漫画みたいな展開があるんですね。
安本
そうそう。
まぁ、ちょっと付き合ってみようかな?と思って、
次の日から応援練習の様子を見てたら、
すごい面白そうに感じ始めて…入ってしまいました。
鳥越
へぇー!応援団って、普段どんな活動をするんですか?
安本
毎日毎日、発声練習。
足は痛いんだけど腕の力だけはあったので、
腕立て伏せ100回とか、逆立ちして発声練習とか
そんなことをやってましたね。
鳥越
逆立ちして発声練習というのは…?
安本
芸大の声楽科の人に聞いたら、
彼らも逆立ちして発声練習するって言ってました。
声を出すには腹筋が一番大事なので。
鳥越
なるほど…
安本
3年間ずっと、応援活動というか野球部の応援をしていましたね。
合宿に付き合ったり、甲子園に応援にも行ったり。
一応、いろんな部活の応援にも行ったんですが、
結局、野球部の応援に落ち着きました。
鳥越
野球って、応援の構成というか表裏で型が整えられていますよね。
そういった点からも、
わたしは、応援団は野球が一番あっている気がしています。
安本
僕は団長をやったんですが、
指先のサイン1つでいろんな人が動くという状況がすごく面白かった。
その頃、医者になる夢は頓挫してしまいましたけど、
今考えてみると、医者と応援団っていうのは、
人を助けたり応援したりするという点が共通していて、
その後の自分の仕事にすごく影響を与えているんだろうなと感じてます。
鳥越
確かにコンサルティングの仕事に繋がっている気がしますね。
安本
応援のやり方はすごく勉強になりましたね。
攻守別の応援方法の違いとか、1,200人ぐらいの集団の動かし方とか…
チームワークがいかに大事かということを学びましたね。

例えば人の声。
これは何回も実験したのでよく分かるんですが、
たとえ小さなひそひそ声でも、それを大人数で合わせると
すごい気持ち悪いぐらい遠くまで届くんですよね。
これが腹の底からの声になると、びっくりするほどの大きさになる。
鳥越
チームとしてのまとまりが重要ということですね。
安本
そうですね。
今、人を動かす仕事、そのお手伝いをずっとしてるんですけど、
経営者って人を動かさなきゃいけないじゃないですか。
鳥越
はい。
安本
それをどうやって動かすか?
組織の力を、チームワークの力を出して、
普通の人たちの力をいかに巨大な力に変えるかっていうのは、
今思い返すと、その頃からなんとなく感じてたのかな。

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− 人の感情の流れを読む

鳥越
今の安本先生に一番影響を与えているのは何だと思いますか?
安本
入院の経験ですかね。

実は、僕は股関節脱臼で生まれたんですよ。
しばらく歩けない状態が続いて、幼稚園もまともに行けず…
小学生になってからも交通事故や骨を移植するために入院したりで、
幼少時代は周りの人とあまり交流を持てなかった。
鳥越
そうだったんですね。
安本
小学5年生のときの入院では、牛の骨と取り換える手術をしたんですよ。
当時は人工関節が無かったので、お医者さんが
「今一番進んでいるのは若い牛の骨を移植することだ」って言うから…
本当に信じていいの?と小学生ながらに思いました(笑)
鳥越
え?牛の骨は削るんですか?それともそのまま?
安本
移植したのは股関節の骨頭の部分で、これは牛にもあるからそのまま…
ボルトとナットで、僕の骨とくっつけるような手術をしたんですね。
それを契機に、医者って面白そうだなと思ったんですね。

小学生のときに何回か入院したんですが、その時6人部屋だったんです。
自分は痛いし、皆それぞれ苦しい中で、
「どうしたら楽しくなるかな?」とか考えて、
冗談を言ったり結構騒いだりしてましたね。
当時は看護「婦」って言ってたんですけど
「ナース、ナース!」とかって言って、大声で(笑)
鳥越
(笑)
安本
どうすれば暗い雰囲気を明るくできるか、
みたいなことを自然にやってたような気がします。
鳥越
そうだったんですね。
安本
だから、会社にコンサルで伺っても、
ここはやけにドヨンとしてるな、ってあるじゃないですか。
見ると分かりますよね、重たい空気が漂っている感じ。
それが気になって「なぜなぜ?」とかって聞いちゃうんですよね。
鳥越
安本先生は、ちょっと見ただけで
その場がどんな状態かお分かりになられますよね。
安本
いや、分かってはいないんですけど、
肌でなんとなく感じてしまうというか。

感じたままを伝えると、その通りだったりすることが多いので、
なにか感じるのは昔からなのかなと思いますけどね。
人が苦しんだり悲しんだりしてると、場が明るくなるようにするとか…
やっぱり相手が楽しくないと自分も楽しくならないじゃないですか。
そういったことを常に心がけているような感じはしますね。
鳥越
そこには必ず人がいますよね。
安本
人はいますね。
人の感情の流れみたいなものって、それぞれ違うじゃないですか。
鳥越
はい。
安本
会社っていうのは、人が中にいて、生活する舞台ですよね。
だけど一方では仕事の連続というか、
感情を度外視した無機質な仕事の塊ですよね。
仕事をとってきて、こなして、出荷するとか製品にするっていう…

会社は、この仕事と感情が両立しなければいけないわけです。
それを経営者が舵取りしなきゃいけないんだけど、
仕事ばっかり言う人は、結構感情を無視するから。
経営学の本とか感情を無視してますよね。

今は、ちょっとずつではあるけど経済学も、
行動経済学とか行動心理学とか、心理学系の観点からも
一緒に議論する動きにはなってきましたが、
まだまだ感情のない仕事に偏っている。
でもやっぱり経営者は両方見ていかなきゃいけないんです。
僕の場合、この両方見るという感覚は、
応援団のときに身につけられた気がしています。

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− ひとり一人の目線や思考を想像する

安本
実は応援団の同級生が、僕を含めて3人しかいなかったんですね。
応援の振りは、それぞれが先輩から口伝(くでん)で習うんですが、
僕らの代は、本当に沢山のことを3人で分担して覚えなきゃいけないから
ものすごい大変だったんですね。

教える立場になって、相手に伝えること自体の難しさというか、
物覚えの良さや声の大きさには個人差があるから、
ちゃんと伝えるというのは本当に大変だなと思いました。
鳥越
人をまとめるときに、一番いいやり方って何だったと思われますか?
安本
怒鳴り声ですかね(笑)
鳥越
(笑)
安本
両方じゃないですかね。
常に「厳しさ」と「優しさ」のバランスをとる。
会社に置き換えて考えると、部下の導き方には3段階あると思っていて。
まずは、その人の性格や思考回路、思考方法などを素早く見抜いて、
その人の立場まで下りて、「こういう教え方がいいな」というのを
感じられることが大事だと思っています。

やっぱり、上司部下の関係でいうと上司は偉いので、
必ず上から下に向かって命令口調で言うと思うんですが、
これって駄目なんですね。
本人が納得しないと仕事しないんですよ。

でも、目線を合わせて考えれば
相手が納得してくれる教え方に気付ければ、
その部下は納得して、仕事をやるようになる。
鳥越
たしかに、コミュニケーションのとりかたって重要ですよね。
安本
次の段階は、この部下に「ちょっと考えてごらん」と、
考えさせる時間を与えるんですね。
これまでのやり方を教えた上で、
「きみはどういうやり方が一番いいと思う?」って聞くと、
彼は彼なりの意見を言おうとするようになるんです。
それでもう1歩も2歩も成長してますよね。

最後は「きみが僕の立場だったら何をどうすると思う?」って。
ここでもっと進むんですね。
鳥越
部下にも目線を変えさせて、考えさせるんですね。
安本
急激には伸びないですけど、相手の目線や思考を想像して、
いろいろ考えながら上司と部下で問答できると、
すごく伸びると思いますね。
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