「デザイン視点で考える:IoTで実現する未来の体験とは(前編)」

「IoT」。

SNSやニュースでよく飛び交うようになったキーワードですが、 IoTと聞いて、具体的なイメージをパッと思い浮かべることができますか?

IoTとはInternet of Thingsの略で「モノのインターネット」と訳されます。

簡単に説明すると、身の回りにあるモノに通信機能を持たせ、 インターネットに接続して通信することで、相互に制御する仕組みのことです。

私の感覚では、 言葉ばかりが先行して、実際の生活にどの様なことが起こるのかイメージし辛い、 というのが率直な意見です。

そこで、私なりにデザインの視点からIoTというテクノロジーと、 IoTによって実現できる未来の体験について考えてみました。 まずはその前編です。

− コンピューティングパラダイムとIoT

IoTを考える前に、 まずはコンピューティングテクノロジーについて、 大きな時間軸で考えたいと思います。

モバイルフロンティアという本に、 「過去・現在のコンピューティングパラダイム」 「未来のコンピューティングパラダイム」という、 私が一番共感した節があります。

本によると、コンピューターのパラダイム※には以下の流れがあるとしています。

ツールとしてのコンピューター ↓ メディアとしてのコンピューター ↓ 有機的素材としてのコンピューター

まず、1970年代に浸透した"ツールとしてのコンピューター"は、 Eメールや表計算、描画ツールとして、複雑で時間のかかる操作を簡単に行えるといった、 タスク達成や、効率性のサポートという役割を担っている時代でした。

やがてインターネットが普及すると、 "メディアとしてのコンピューター"が認知されるようになり、 ニュースやSNS、Youtubeなどで情報の受発信をするもの、 喜んだりや楽しめるコンテンツを提供できる時代に入りました。

では、"有機的素材としてのコンピューター"のある生活とは、 どの様な状態を指すのでしょうか?

− 「どこにでもコンピューターが存在する」未来がやってくる

本の言葉を借りると、「生活環境に溶け込む力をもつもの」。 それが答えになると考えています。

私たちは、今でこそPCやスマホ、タブレットなど、 コンピューターを物理的なモノの単位で認識し扱っていますが、 未来においては、 コンピューターは生活のあらゆる時間軸と空間軸に存在し、 まるで、自分の手足や思考の様に感じらるようになっていると思います。

時に"有機的素材としてのコンピューター"の性質も持ちつつ、 "ツール&メディアとしてのコンピューター"が日常の様々な場所に入り込んだ社会。

それこそが、IoTが広く日常生活の中に浸透した未来の姿、 と言えるのではないでしょうか。

PCやスマホだけではなく、日常の至る所にコンピューターがある時代。

ドアや冷蔵庫、エアコン、テーブル、コップ、服、ボタン… それらに埋め込まれたコンピューターが 意思を持っているかのように自動的にセンシングしたり、 他の機器や他者と情報のやり取りをしたり、 その場で人間に情報伝達することで人間にとって有益な体験が提供される、 そんな未来です。 なんとなくイメージ出来るでしょうか?

これはテクノロジーの話であり、 デザイナーには実際の体験像を描く役割があります。

次回は、多様な可能性を秘めたIoTがつくる未来の体験像について書きたいと思います。

※ある時代に支配的な物の考え方・認識の枠組み

参考:レイチェル・ヒンマン( 安藤幸央、佐藤伸哉 監訳) 『モバイルフロンティア』 丸善出版株式会社 2013 iot

鳥越 康平

鳥越 康平

http://zeppelin.co.jp

京都工芸繊維大学、工芸学部造形工学科卒業後、韓国サムスン電子にてデザイナーとして携帯電話などの最先端機器の開発に従事。帰国後2005年10月にZEPPELINを設立。

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