未来に“残るデザイン” 第5回「未来に残るデザイン」

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第5回 未来に残るデザイン

板坂諭(建築家/プロダクトデザイナー)

2010年にh220430名義で活動を開始し、2012年に株式会社the design laboを設立。建築・家具などを題材として、単にモノの形をデザインするのではなく、そのモノに込めたメッセージをもとに生まれる、二次的なコミュニケーションをデザインされています。
2011年に中国メディア主催のMedia AwardでAnnual Original Products Design Award、2013年にはイタリアのA’Design AwardでBaby,Kids and Children’s Products Design Category銀賞を受賞。 2012年には「Mushroom Lamp」がサンフランシスコMOMAのパーマネントコレクションとして収蔵され、2014年に開催されたミラノサローネでは、新作プロダクト「Balloon Chair」を出展されています。

鳥越
今後10年の間に、やってみたい、成し遂げたいと
考えていることはありますか?
板坂
そうですね…
僕もいろいろと挑戦しているような段階なので
漠然とした回答になりますが、
やっぱり100年、200年残るものをつくりたいですね。
鳥越
100年ですか。
板坂
100年経ったら、自分がこの世から消えてしまいますよね。
自分の短い命が終わったら、
全てなくなってしまうということが寂しくて。

実は、中学生の頃から「残るもの」をつくりたいと思っていたんです。
いろいろと考えるうち建築なら残るものをつくれると思い、
建築に進むことを決めました。

例えば、サグラダ・ファミリア教会の建設は、
ガウディ※の死後、今もなお続いている。
後世に精神が生き続けているなんて、本当に魅力的ですよね。

(※ Antoni Gaudí i Cornet。建築家。
サグラダ・ファミリアやグエル公園など、バルセロナに残る彼の作品は、
アントニ・ガウディの作品群としてユネスコの世界遺産に登録されている。)

鳥越
そうですね、私も魅力的だと思っています。
板坂
ただ最近、建築でなくとも「残る」ことは可能だと気付きまして。
今は建築に限らず、長く残るものをつくりたいと思っています。

例えば、僕はイームズ※が好きなんですが、
イームズの椅子なんかは半世紀以上経っても使われていますよね。

(※ Charles Ormond Eames, Jr。デザイナー、建築家、映像作家。
20世紀における工業製品のデザインに大きな影響を与える作品を残した。
代表作の椅子は、家具メーカーのハーマンミラー社に提供されている。)

鳥越
そうですね。
板坂
それ位経っても、使い続けられるような椅子だったり、空間だったり。
建築かもしれないし、都市のシステムかもしれないし…
そういうものをつくりたいと思っています。
鳥越
私も、ZEPPELINのデザインとして、100年保つものを目指しています。
あと、組織を残したいと考えています。
板坂
なるほど。
鳥越
それこそ何千年というか、1万年とか残る組織を。
板坂
いいですね。
組織といえば、僕、伊勢神宮がすごいなと思っているんです。

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板坂
20年毎に行なわれる式年遷宮って、それこそ1000年以上前の
天武天皇の時代からあるわけですよね。

老化することを受け入れて、それを新陳代謝していくシステムが、
あの時代に既に出来上がっていたことが、本当にすごい。
そんな組織ができたら最高ですよね。
鳥越
いいですよね。
板坂
新しい社を造るために植林をして、
神様にお供え物をするために町ではお米を作ってとか、
式年遷宮のために町全体が動くのだから、感動的ですよ。

これほど完璧なシステムを、もし現代社会の組織に反映できれば、
それは1000年残る会社ができるでしょうね。
鳥越
本当にそうですね。
板坂
タイムリーな話で、昨年の春くらいまで式年遷宮の時期だったので、
旧正宮と新正宮の2棟建っていたんですよね。
実は、この新旧両正宮が併存する期間に参拝すれば
旧正宮の中に入れていただけるという話を聞きまして、
20年に1度のタイミングを逃す訳にはいかないと思い行ってきました。

伊勢神宮って、必ず建築系の教科書にでてきますが、
建物内部の写真は載っていないんですよね。
だから、実際に見てみたいと思っていたんです。
鳥越
言われてみれば、確かに外観のイメージしか思い浮かびませんね。
板坂
旧正殿の周りには4枚の塀があるのですが、
天皇陛下ですら3枚目までしか入れないのです。
その先の壁は、天皇陛下でも越えることはできない。
でも、20年に1度の神様が新正宮へ転座された時期だから、
僕みたいな平民が入れちゃうのです。
すごいじゃないですか。
鳥越
すごいですね。
板坂
手続きなどの詳細は知らないまま行ってしまったのですが、
とりあえず受付に行き、寄付をしたいと伝えると、
「じゃあ、こちらにお願いします」
と丁重に書類を出されまして。

書類に記入して、ドキドキしながら待っていたら、
待合室に通されたんですね。
すると、それはそれは神聖な2人の巫女さんが踊り始めたんです。
弦楽器の古い楽器が周りを取り囲んで、
荘厳な雰囲気の中、僕はこう…30分位待っていたんですね。

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鳥越
今か今かと。
板坂
そうなんです。
でも、巫女さんの舞が終わると出口に案内されてしまって。

結局社の中は見られず、もう本心を言うしかないと思い、
「僕は建物を見たいのです」と言ったら、
「じゃあ、こちらに」と、また違う紙をいただきまして。
もう1回書いて…
鳥越
もう1回納めたんですね(笑)
板坂
どうやら、旧正宮の中を見たいと来る人はあまりいないようで、
最初からハッキリと目的を伝えれば良かったです(笑)

お祓いを受けて中に入ると、
驚くことに、すごい煌びやかだったんです。
伊勢神宮ってヒノキの素地で出来上がっている
白いイメージじゃないですか。
それなのに、内部はすごいカラフルでキラキラなんですよ。
鳥越
へぇ、想像できないですね。いつ頃デザインされたものなんでしょう?
板坂
天武天皇の頃から変わっていないはずなんですよ。
その頃デザインされたものが…
鳥越
そのままずっと残してある。
板坂
そうなんですよ。
20年毎につくり替えているだけなので、同じはずです。

各手すりの上には、7色に光っていそうな
宝石のような装飾がされたりしていて。
外から見る印象と、本当に全然違うんですよ。

伊勢神宮って、質素な飾り気のない神様だと思っていたら、
開けてみたら、実はすごいお化粧をしていました。
鳥越
想像していなかったから、より強烈に感じたのかもしれませんね。
板坂
本当に驚きましたね。
同時に、もう、すごい優越感だったんですよ(笑)
鳥越
2回も納めていますしね(笑)
板坂
そう(笑)

外を眺めると、沢山の参拝客で溢れていたのですが、
旧正宮の中に入れるという情報は広く公表されていないので、
誰にも邪魔をされず、
天皇陛下でも入れない場所からの眺めを存分に味わえました。
しばらくの間、ずっと外を眺めて立っていましたね。

伊勢神宮は、素材の使い方といい、
ひとつひとつのプロポーションが完璧なので、
デザインという観点でも非常に見る価値があると思います。
鳥越
お話を聞いて、ぜひ行って見てみたくなりました。

1000年という話も出ましたが、
100年、200年…この先、全人類はどうしたいんでしょうね。
モノが増え続けることに違和感を感じないんですかね。
板坂
これは淘汰されますよね、絶対。
カンブリア紀みたいなもので、
急激に増えたけれど、スーッと減っていくような気がしますけどね。
鳥越
恐らく、そうですよね。
板坂
洗練されたものだけが残っていくのだと思います。
鳥越
あらゆる文化や芸術も、波を繰り返していますしね。
板坂
何かを加えるのではなく、引き算というか
「削っていく」という考え方が、
長く残る秘訣なのかもしれないですね。
鳥越
減らすこと、無くすことを追求していくことは、
やはり意味がありでそうですね。
板坂
そのための指針を、
我々クリエイティブな人間が示していかなきゃいけないと思いますね。
鳥越
そうですね。
板坂
そういう仕事をしたいですね。
鳥越
いち早く、ZEPPELINはその方向を目指したいですね。
事業として成り立つ様に、着実に形にしていきたいと思っています。
本日は有難うございました。
板坂
こちらこそ、有難うございました。
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