【ZEP NIGHT vol.2 開催後記】デザイナー田子學×ZEPPELIN トークイベント

 <開催後記:ZEP NIGHT vol.2 デザイナー田子學×ZEPPELIN トークイベント>

 

開催日時 :7月25日(金)
当日の流れ:セッション1「美しさとは何か」 柳橋歩
セッション2「デザインマネジメントとは?」 田子學 懇親会

今回のゲストは、世界三大デザイン賞を獲得したOSOROの製作など、世界でご活躍されているデザイナーの田子學氏。「デザインマネジメントとは?」をテーマに語っていただきました。ご参加いただいた皆さまから沢山のご質問をいただき、とても有意義な対談・交流の場になったのではないかと感じております。

一部抜粋とはなりますが、当日のセッション内容をお届けします。お楽しみいただけますと幸いです。

1.「美しさとは何か」柳橋歩

<プレゼンター紹介> 柳橋歩 ゲストである田子さんと交流のある柳橋さん。日本電気株式会社に在籍されています。"可愛さ"と"可哀想"という言葉の対比をイメージさせるため、また、テーマである「美しさ」が持つ要素を表現するために、原宿を代表する"カワイイ"の代名詞、きゃりーぱみゅぱみゅさんに扮して、「美しさとは何か」について、プレゼンテーションしてくださいました。

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— 日本人の美意識のルーツ

平安時代、公家の時代にできた言葉。 鎌倉時代以降、武士にも"あはれ"という文化が浸透したと言われている。

当時、"あはれ"が持つ意味合いは、「可哀想」という、哀れみを含んでいた。 これは、時代背景として、まだ14歳くらいの子どもが、 綺麗な格好をして戦に行っていたということがあり、 それを見ていた人々が『なんて"あはれ"だ』という話をした、ということから来たと言われている。

その後、"あはれ"から"あっぱれ"という派生語が生まれ、 時代と共に「立派」や「愛」という要素が含まれるようになり、 そして、『「哀れ」だな』で終わるのではなく「あっぱれ」と、 「儚さ」を受け入れる賞賛の感覚が芽生えた。

あはれ(可哀想)と、あっぱれ(可愛い)という言葉は、対極にあるようで実は表裏一体。 『可哀想だな(あはれ)』と思うのも、『可愛いな(あっぱれ)』と思うのも、 受け手がその瞬間どう思うか、受け入れ方次第で印象が変化する。

これらの言葉の根底には、「儚さを受け入れる」という感覚があり、 これが、日本人の美意識のルーツと言える。

 

— 無常と余情

「我が世誰ぞ 常ならむ」いろは歌 「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」平家物語 「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず」方丈記

歴史上有名な文学作品の冒頭には、「儚さ」を感じるフレーズが入っているという共通点がある。 平家物語をとってみると、長い物語の始めの一節が、 「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり…」というフレーズから始まる。 どれ程「儚さ」に対して重きを置いているか、ということが分かる。

日本人、日本文化は、もともと「諸行無常」という考え方を受け入れることを美徳にしてきている。 また、日本は、人間の予測や意思を越えた天変地異が起こりやすいという点や、 住宅が木造である点なども、「儚さ」を受け入れる国民性の基盤に繋がっていると考えられる。

無常から連想されるのが、桜。 短い期間で散ってしまうと分かっていながら、開いた瞬間、人々は美しいと言う。 このような一瞬一瞬、「儚さ」を楽しむという文化が、日本には根付いていると考えられる。

また、同じ場所であったとしても、一瞬一瞬、日々変化している。 日本人は、時代とともに、過去の断片的な記憶や間を想像することを楽しむようになった、 つまり、そこから感じられる余韻や余白を楽しむようになったと言われている。

無常と余情(余韻・余白)。 常の物は無いから、人は、その間を、壊れていくもの、また新しくなるもの楽しむ。

美しさとは『その一瞬一瞬を楽しむこと』である。

 

2.「デザインマネジメントとは?」田子學

<ゲスト紹介> 田子學(アートディレクター/デザイナー) 株式会社東芝デザインセンター、株式会社リアル・フリートを経て、2008年に株式会社エムテドを立ち上げ、現在は幅広い産業分野のデザインマネジメントに従事されています。デザインを社会システムの一部として大いに活用してもらうことをモットーに、様々な要素の関係性を統合的に捉えた戦略によって、個別最適化ではなく全体適正化が成り立つコンセプトメイクからブランドの確立を視野にいれてデザインされています。

GOOD DESIGN AWARD、red dot design award、iF PRODUCT DESIGN AWARD、INTERNATIONAL DESIGN EXCELLENCE AWARDS(IDEA)、JDCAデザインマネジメント賞など受賞作品多数。現在は、慶応義塾大学大学院SDM研究科 特任教授、法政大学デザイン工学部 非常勤講師、東京造形大学デザイン科 非常勤講師を務められています。

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— デザインマネジメントとは 「一気通貫のデザインでプロジェクトを戦略的にマネジメントすること」。

デザインマネジメントは、その企業体、もしくは運動に対して、 いかに密接に着実に共に動けるかにかかっている。

これからの時代、まず考える必要があるのは「何を作るか」ではなく「なぜ作らないといけないのか」。 1番重要なのは、『Why?』から始めるということ。これは、単純な様で実は難しい。 しかし、ものごとは、単純にすればする程、美しい現象が起きている。 そこを忘れないようにして欲しい。 世の中がこうだからとか、誰かがやっているからとか、そんなことは関係ない。

『なぜ?』と疑問が出た時に、自分自身が芯を持ち、語れる様な内容で相手を説得できれば、 本質的に迫ることができる。 そうすれば、『なぜ?』から派生して、そこから何をすべきか、 どうやってやるべきか、ということがだんだん見えてくる。

— デザインは、見えない誰かに向かってラブレターを書くようなもの。

ラブレターは、相手にどう受け止められるか分からないけど、 自分の想いを受け止めてもらいたいがために、いろいろ工夫するはず。

どうすれば相手に気に入られるか、渡し方やタイミング、書き方などについて、 相手の気持ちを本当に思う程、いろいろな方法が考えられる。

いろんな方法が考えられるということ、それが1番重要で、 そこが自分ごとに考えられているかどうかの基準になる。 単純にインターネットから文章をコピペするのか、 一文一文魂を込めて、行間まで計算しながら考えて書くのか…伝え方が全然違ってくる。

つまり、デザインというのは、 相手に届くメッセージとして本当に響くものを作ろうとすると、きっとラブレターにすごく近い。 ただし、誰が受け取るかわらかないラブレター。 そういうものを作っていく必要がある。

— ロジック・センス・ラブ

具体的にはどうすれば良いかというと、"ロジック"、"センス"、"ラブ"の3つを体系的にもつことが重要。

世の中の多くのデザインは、だいたい"ロジック"または"センス"で固められているが、 デザインマネジメントでは、それだけでは絶対足りない。 そこに本質を乗せるのであれば、”ラブ"が重なっていないと、本当のデザインはできない。

だからこそ"ロジック"だけでもないし、"センス"だけでもない。

本当にラブレターを書くことと一緒。 どんなに飾ったラブレター書いたとしても、"センス"がいきているだけで、全然内容が無かったら駄目。 落とす口説き文句、それが"ロジック"だとしたら、それが伴って初めてラブレターとして成り立つ。 何より、もっとも忘れてはいけないのは、そこに書く本心。

そういう意味で”ロジック”、”センス”、”ラブ”が重なれば重なる程、 本当のデザインというものは見えてくる。

"ロジック"と"ラブ"だけで“センス"が足りないと、エンジニアリング系に偏ったプロダクトになってしまい、 "センス"と"ラブ"だけで”ロジック"が足りないと、完全にアーティステックな方向に偏ってしまう。

"ロジック"、"センス"、"ラブ"の3つがバランス良く重なりあうことで、 本質的なデザインに辿り着ける。

 

☆ 著書「デザインマネジメント」のご紹介

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3.懇親会

セッション後の懇親会では、ゲストの田子さんを交え、ご参加いただいた皆さまの活発な意見交換の様子が伺えました。新しい発想や気付きが芽生える、とても有意義な時間を共有いただけたのではないかと感じています。^^

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ー ZEP NIGHTとは? ー

人数限定の参加型トークイベント。毎回ゲストをお迎えし、 ゲストの専門分野や、デザイン/UXとの関わりなどについて語っていただきます。 参加者全員がテーマについて自由に思いを発信できる、インタラクティブなイベントです。 「美しい世界をつくる」というZEPPELINのビジョンのもと、 参加者の方々と共に語り、気づき、新しい世界をつくりあげていくことをテーマにしています。

ZEP NIGHTは今後も隔月で開催していく予定です。 次回以降の開催予定は、ZEPPELINのFacebookページでお知らせいたします。

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