”利他的UX”が作る未来 第5回「これからの社会とUXの関係」

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第5回 これからの社会とUXの関係

安藤昌也(千葉工業大学 工学部 デザイン科学科 准教授)

NTTデータ通信株式会社(現株式会社NTTデータ)を経て、1998年アライド・ブレインズ株式会社の設立に取締役として参画。ユーザビリティ・アクセシビリティを中心に経営戦略や商品開発をユーザー視点で行うコンサルティング業務に従事。ユーザエクスペリエンスに関する研究で博士号を取得後、2011年から現職。
現在は、ユーザエクスペリエンスや人間中心設計(HCD)、エスノグラフィック・デザインアプローチなどの研究・教育に従事されています。また、HCDおよびアクセシビリティの国際規格に関するISO/TC159(人間工学)国内対策委員などで委員を務められ、現在はNPO法人 人間中心設計推進機構(HCD-Net)理事であり、同機構認定人間中心設計専門家。専門社会調査士の資格も保有されています。

鳥越
UXがまだ浸透していない産業、
今後最もUXが必要、または活かされるとお考えの分野を
伺いたいのですが。
安藤
これは良い質問ですね。
答えは2つあると思います。

1つ目は意図的な回答で、製造業が該当すると思います。

最近、日経テクノロジーにも
「技術者のためのUX基礎」みたいなテーマで
記事を書いているんですけど、
僕は、製造業に携わる皆さんに
「日本の製造業は、
どんなレベルの製造業であれ顧客価値を作っていた」
ということを気付き直して欲しいんです。

「UXという概念を入れましょう」
と言いたい訳ではなく、
「皆さんがやってきたのは”お客様のためにやる”という、
最近の言葉を使うと“ユーザーエクスペリエンスデザイン”にあたり、
それが今、世の中に求められているんです」
ということに気付いて欲しいと思っています。

今こそ製造業にUXが必要なんだ!
というのが1つ目の答えですね。

もう1つは、産業じゃなくて、コミュニティとか社会全体に
ユーザーエクスペリエンスデザインという概念が必要だと思っています。
鳥越
私も思います。
それで、先程の話に戻るんですけど。

今後、ZEPPELINの事業の軸が、
企画ベースのUXデザインから事業ベースのUXデザインへ、
そして、
社会問題解決のためのUXデザインに移ったとき、
様々な事業体や、官民が一体となれるような
巻き込む力のある組織、
そこから様々なプロジェクトを生み出せる組織でありたい。

ZEPPELINを、そのハブとなる組織にしたいと考えています。

海釣りに行った時の話を例に挙げると、
漁船の基本的な作りって、
昔から何も変わって無いと思いませんか?

イノベーションが起きていないから、
漁業に携わる人口が減りつつあるというのは、
仕方ないことなんじゃないか…と感じています。

漁船の、本当に小さな部分からでいいと思うんです、
UXのところからでも変えていけると良いんですが。

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安藤
そうですよね。
鳥越
そんな、社会問題解決プロジェクトみたいなものが、
自然発生的に起こっていくのが理想です。
安藤
多分、これからのUXデザインは、
仰るように、個別のプロダクトの企画に留まらず、
広い視点が必要だと思います。

もう少し大きい視点から、
1つ1つの製品が位置づけられるみたいな、
そういうことになるだろうと思うんですね。
マクロも、マイクロな体験も、
部分的ではなく、一貫して体験が計画され、
デザインされている必要があるんです。

ここがUXデザインの難しいところなんですけど。

そういう意味では、先程の話だと、
漁船のデザインがやっぱり鍵を握る。
そういうことになるんだと思うんですよね。
それがひいては漁村の問題を解決するみたいな。
鳥越
そうかもしれないと思っています。
安藤
鳥越さんがそうお考えなら、その通りだろうなと思うし、
UXデザインって、多分間違いなく、
そういうことに向かうんじゃないかと思います。
鳥越
漁村について視点を変えた話をすると。

一概には言えないと思いますが、
「車が無かったら生活できない」という話があるじゃないですか。
私が行った所は、一軒一軒の距離が何キロもあって、
車がなかったら移動するのが難しい場所だったんです。
でもそれって、本当に車でしかできないの?と思うんです。
安藤
じゃあ家が動いちゃえばいいじゃん、みたいなね(笑)
鳥越
やどかりみたいに(笑)
安藤
回覧板じゃなくて、家がこう回っていっちゃう…
分かんないけど(笑)

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鳥越
コミュニティが毎回毎月変わるみたいな。
安藤
ありそうですね。
鳥越
そういう社会問題に対して、
投資家や専門的な知識のある人、
特別な技能を持っていたりする人が自然と入っていけるように、
ハブを作りたい、ハブになりたいんです。
安藤
成る程。
それは何か、UXっていうのかと言うと、
ちょっと分からないんですけど(笑)
鳥越
何て言えばいいのか分からないですよね(笑)
安藤
今、僕はソーシャルデザインとか、
ソーシャルセンタードデザインと表現して取り組んでいますが、
その言葉も適切なのかなっていう…

ただ、確実にそういうことになるだろうと思って、
色んなセミナーやレクチャーをしています。

ビューティフルなのかエレガントなのか、
あるいはスマートなのか分からないですけど、
今までと違った形で、
皆がモチベーティブになるような形で
問題を解決するということに取り組んでいるんですが。

そういうのを、もし鳥越さんがZEPPELINでやるとしたら、
何て表現すれば良いんですかね(笑)
鳥越
実はそれ、悩んでいるんですよ(笑)

考えるうちに、UXコンサルっていうのは
ちょっと違うかな、と思ってきて。

最高のUXをデザインすることを手段として、
社会問題などを解決していく組織体を作りたい。
それを一言で呼べる言葉がまだ見つかっていないですね。
安藤
何か良い言葉があると良いんですけど…
ユーザーエクスペリエンス、UXDだと、
「ユーザー」って限定されちゃってるから
若干限界があるかもしれないですね。
鳥越
限界がありますよね。
安藤
ユーズしない人も入ってますからね、多分(笑)
鳥越

さっき仰っていた、モチベーションが上がるとか、
日々の生活に、ちょっとキラキラと輝くような
インスピレーションや活力があるというか、
そういうことだろうと感じています。
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