”利他的UX”が作る未来 第4回「『心地良い』体験」

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第4回 「心地良い」体験

安藤昌也(千葉工業大学 工学部 デザイン科学科 准教授)

NTTデータ通信株式会社(現株式会社NTTデータ)を経て、1998年アライド・ブレインズ株式会社の設立に取締役として参画。ユーザビリティ・アクセシビリティを中心に経営戦略や商品開発をユーザー視点で行うコンサルティング業務に従事。ユーザエクスペリエンスに関する研究で博士号を取得後、2011年から現職。
現在は、ユーザエクスペリエンスや人間中心設計(HCD)、エスノグラフィック・デザインアプローチなどの研究・教育に従事されています。また、HCDおよびアクセシビリティの国際規格に関するISO/TC159(人間工学)国内対策委員などで委員を務められ、現在はNPO法人 人間中心設計推進機構(HCD-Net)理事であり、同機構認定人間中心設計専門家。専門社会調査士の資格も保有されています。

鳥越
先日、ある企業の代表の方と会った後に、
その方からFacebookでメッセージをいただいたんですけど、
『"心地良いこと"っていうのをすごく大事にする考えは、
新しい気付きでした』と言われたんです。
安藤
へぇ。
鳥越
やっぱり、UXって「心地良い」ことは
重要な要素だよなぁと、改めて思いました。
安藤
成る程ね。
鳥越
答えるのが難しい質問かもしれないんですが、
安藤先生が最も「心地良い」と感じるUXとは何ですか?
安藤
研究者的に言うと、
僕は「心地良い」 って、期待とのバランスだと思っていて。

程よく期待を越えている程度だとあまり驚かないけど。
何て言うのかな、
「意のまま」を心地良いと感じる人もいれば、
逆に「じゃじゃ馬ならし」を心地良いと感じる人もいる。
だから、「バランス」っていう言葉が正しいと思いますけどね。

僕の場合は、僕自身の体験の話をすると、
あほみたいなアイデアを出している瞬間が心地良いですね(笑)
鳥越
安藤
何て言うのかな…喚起される気持ち?
鳥越
喚起される?
安藤
インスピレーションを与えられる瞬間とか、
「これは!」みたいなのを体験することとか…

ドーパミンが出ているのかもしれませんが、
思いもよらない発見をしたときって、楽しいじゃないですか。

もちろん、
思いもよらない嫌な発見もあるかもしれない。
それを、普通の人は不快に思ったり、
ちょっとストレスに感じたりするかもしれませんが、
むしろ僕は、全体として心地良いと感じるんですね。

要するに、程よく刺激がある生活というのは、
全体として、すごく心地良い生活だなと感じるんです。
メリハリがあるというか…
分かんないけど、そんな気がしています。
鳥越
普段、喚起されるというか、
インスピレーションが涌く瞬間って、どれ位ありますか?
安藤
常に!学生と一緒にいると、常に(笑)
鳥越
成る程(笑)
安藤


学生は思いもよらないことをしますから。
心地良いですね(笑)
びっくりしますよ。
鳥越
仕事をしているときより、学生といるときの方が…
安藤
楽しいですね。
やっぱり、色んなレベルで学生は面白いというか、
良い意味で期待を裏切ってくるので。
鳥越
へぇ。
安藤
望むべくは、もっとびっくりする位、
期待を裏切ってもらえたらいいと思うんですけど。
程よく「えー?!」みたいなことは、毎日あります。
何かしら(笑)

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鳥越
私も最近、天野さんという15歳で起業した方と
仕事をしているんですけど、
びっくりすることがよくあって。

最近、1番面白かったのが、
これまで一度もCDを買ったことが無いっていう…
安藤
そうなんですか?
鳥越
CDショップに入ったことが無いらしいんですよ。
安藤
CDショップ…確かにね。必要ないかもね。
鳥越
iTunesで曲を買ったことも無かったらしいんですよね。
安藤
どうして?
鳥越
YouTubeや無料で聞けるアプリなんかで、聞くそうです。
安藤
成る程、そうなんですか。
鳥越
実は今、自社事業で、
なかなか注目を浴びれずにいるミュージシャン達が
定期収入が得られるような、
ファンとミュージシャンを直接繋ぐプラットフォームを作っています。
安藤
うん。
鳥越
天野さんも、そのプロジェクトに携わってくれているんですが、
彼は、偶然街角で出会った良いミュージシャンを見つけて、
その場でCDを買ってきたんです。
そのCDが、産まれて初めて買ったCDらしいです(笑)
安藤
面白いですねー!
鳥越
世間では「最近の中・高校生は良く分からない」
みたいなこと言われるじゃないですか。
でも、今その世代の若者が目の前にいて、
いろいろ教えてくれるので、すごく面白いんですよ。
安藤
いやー良いですね。
そういうのは、ちょっと心地良いじゃないですか。
鳥越
心地良いですね。
安藤
体感的な心地良さ。
例えば、運動しているときの生理的・知覚的な、
身体が感じる心地良さというのも当然ありますけど。

僕にとっての心地良い体験というのは、
「インスピレーションがある」とか
「モチベイティブ」という風に言えると思います。

皆が皆やる必要は無いのですが、
生活に彩りを与えるという意味では、
実は皆、多かれ少なかれ、
生活の中でそういうことをやっているんですよね。

「今日はこれをしてみよう」とか、
すごく小さいことだけど、
必ず意欲を紡ぎ続けて生活をしているんです。
それが、個人とか、家庭とか、企業とか、コミュニティとか、
社会の全体の中とか、色んなレベルで紡ぎ続けられているんです。

そういうものと向き合うと、
すごく色んな発見があるんじゃないかなと思っています。
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