UXなんて、当たり前のはなし。第3回「デザイナーの条件」

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第2回 田子學のルーツとデザインマネジメント

田子學(アートディレクター/デザイナー)

株式会社東芝デザインセンター、株式会社リアル・フリートを経て、2008年株式会社エムテドを立ち上げる。現在は幅広い産業分野のデザインマネジメントに従事。デザインを社会システムの一部として大いに活用してもらうことをモットーに、様々な要素の関係性を統合的に捉えた戦略によって、個別最適化ではなく全体適正化が成り立つコンセプトメイクからブランドの確立を視野にいれてデザインされています。
GOOD DESIGN AWARD、red dot design award、JDCAデザインマネジメント賞など受賞作品多数。
現在は、慶應義塾大学大学院SDM研究科 特任教授、法政大学デザイン工学部 非常勤講師、東京造形大学デザイン科 非常勤講師を務められています。

鳥越田子さんのMTDOもZEPPELINも、
デザインを軸としてやっていると思うんですけど、
デザイナーの条件を挙げるとしたら…何だと思いますか?

田子それは…世の中のデザイナーに向けて、という話でしょうか?

鳥越そうですね…
今、「デザイン」という言葉の定義って、日本だとかなり曖昧だと思うんです。

デザインという言葉を使うと、
皆三者三様いろんなことを思い浮かべますよね。
そんな中で、私たちはデザイナーと名乗っていると思うんですが、
田子さんは、デザイナーの条件って何だと思いますか?

田子僕は「デザイン」っていう言葉の定義をよりわかりやすくするために、
”創造的計画”という表現をしているんですよ。
だから、計画的に創造できなければデザイナーじゃないと思うんですね、まず。

世の中のデザインの在り方、その教育も含めてなんですけど、
知識一辺倒か、テクニックに走っちゃう…
でもそうじゃないと思うんです。

クリエイティビティがあったり、こう、人を驚かせる様な、
モチベーションというか、本当に人の心を探り掴むという…
そういったことができないと、本質まで辿り着けない様な気がするんです。

だから、デザイナーが理解しておかなければいけない要素は、
「ロジック・センス・ラブ」だと思っています。

この辺は拙著で詳しく説明していますが…
論理的でありつつも、
知性をもって人の心を揺さぶるようなエモーショナルな運動を実践する。
それがデザインの役割なんです。

でも、特に日本のデザイナーと呼ばれている人を見てみると、
デザイナーじゃなくて、どちらかというとオペレーターに近い人が多いと思うんです。

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鳥越オペレーター?

田子オペレーター。
どこの業界でも一緒だとは思うけど、言われた事だけできる。
やらせるとプロフェッショナルになるかもしれないけれど、
それ以上でも以下でもない…

要は、何かを作るというのは、そこにオリジナリティがあって、
しかも社会的価値があるっていうことが、最低条件だと思うんです。
その発想をもった人が、どれだけいるのかっていうのは…
知りたいところですね。

鳥越そうですね…
そうなってくるとちょっと名乗りきれない方もいるかもしれませんね。

私が、こうあるべきだと思うのは、結構昔から同じ事を言っているんですが、
「木を見て森を見ず」的な。
もうとにかく、マクロ視点。初めは、ものすごくでかい視点から見てほしくて。

でも、プロジェクトとかデザインやっている時は、ものすごいミクロ視点で…
狂気と言える程細かなデザインの部分まで突き詰める。

それらを同時にやれる人…
常に同時に行ったり来たりできる人が、デザイナーであってほしいと思います。
もしかしたら、あらゆるプロフェッショナルな職業で必要なことかもしれないですけど。

田子さんのご回答に付け加えて、
ものすごく良いデザイナーは、目の付け所が全然違う。
本当、鳥の目、虫の目…みたいな。
そういう物の見方ができる人だと思います。

田子機会があるたびにお話しているのは、
「デッサンは足で描け」っていう、僕にとっての教訓なんですが。

予備校に通っている時、デッサンを毎日ひたすら書きますよね。
その時に、耳にタコができるほど先生から言われていた言葉が、
「デッサンは足で描くんだぞ」って。

最初は頭の上に「?」が浮かんだんだけど、
すごく理にかなった話なんですよね。
要は、「営業は足で稼げ」って話にすごく近い。
イスに座ってモチーフを見ていても、何も分からないってことなんです。

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田子例えば、今ここに「グラスが置かれている」という現象がありますね、
でも、まだ1点から1つの側面を見ているにすぎない訳。

この置かれている現象を正確に知るには、
対象物をあらゆる角度から見たり触ったりしなければ分からない。
それに対象物の周辺の環境も把握しなければいけない訳です。

本当にうまい絵を描く人は、
実は一枚の絵を描き上げることに集中しているのではなくて、
現象自体がどうやって成り立っているのかなどの、
読み取った情報の全てをキャンパスに集約していく人なんです。
そこまでして初めて、平面上に描かれていても、
立体として空気感や質量も分かるような『情報伝達』が可能になる。

要は、情報量からくる表現力、編集力の違いなんです。
多くの人が陥りがちなのは、自分の知っている範囲、
自分で見ている範囲でしかものごとを捉えないということ…
それが『やりやすい』から重い腰はあげないわけです。

けど、自分の知らないところまで踏み込んで、
いろいろ拾ってくることによって、視野や表現力が広がり、
最終的に、それが説得力をもったコミュニケーションを可能にする。

だから、デザイナーというのはエンターテイナーのように、
様々な引き出しに多くの『武器』を蓄えている人でもあり、
それを臨機応変かつ縦横無尽に活用し、自分らしい表現ができる人でもある。
僕は、そんな人が本当のデザイナーだと思うんです。

鳥越まさにそうですね。一方向からだけの目線で、
ある会社のマネジメント陣に対して、『こうでしょ』と言っても全然深くない…

田子さんは、いろんな角度から見る為に、コミュニケーションを重ね、
いろんな方向からアプローチされて…
まさに、仰っているようなやり方で、デザインマネジメントをされているんでしょうね。

デザイン的解決って、いろんな角度から見れるようになって、
初めてできるもの…そう思います。

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ZEPPELIN Inc.

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